「希望の村」は身体に障害を持つ人たちの交流や研修を行なったり、介護をする家族の人たちの「癒し」の場所として利用することが目的です。父はその「希望の村」の村長に就任したんです。
希望の村の建設にかかった頃は80年代後半からのバブル好景気により各地には豪華なリゾート地が多く出来たり道路網が整備される時期でした。 |
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世の中絶好調な時期ににもかかわらず何の変哲も無い「普通の田舎」に人を寄せることができるのかなというのが率直な感想でした。
しかし何も無いことが返って好評なようで、開村当初から「癒し」や「田舎」を求める人々が多く訪れてくれました。訪れた人たちを見て共通することは、どの人も実にノビノビしていることです。
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敷地が広い事もあり多少騒いでもそれほど迷惑にはなりません。多少の傾斜はありますがちょっとした散歩もゆっくりできます。訪れた人はどのように時間を使っても何の制限制約は無くまったく自由です。
私たち家族も仲間たちとバーベキューパーティーをしたり、地域の子供会のキャンプなどに利用します。 |
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「希望の村」には本当に何もありません。あるのは住めるように作られた家と周りの自然のみです。
普段の生活で疲れた体や頭脳を自然に向かってさらして自由気ままに過ごしたり、思いや悩みがあれば吐き出してみる、解決の手助けはこの地の自然が導いてくれ、思いや悩みはここの住人やここを訪れる人たちが聞いてくれることでしょう。
そんな中から自分なりの答えを見つけて普段の生活に「おみやげ」として持って行く所、そんな気がします。 |
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ウィークエンド百姓学校の開校 |
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希望の村が完成し色々な人々が訪れるようになって数年が経った頃、実家を訪ねると我が家の畑で作業をする人をよく見かけるようになりました。
父は今度「百姓学校」を開校したんです。広い敷地に広い田畑、自分たちが食べるだけにしては広すぎる環境を利用する手立てがまたひとつ生まれました。
これがまた色々な人々がいらっしゃいます。社長さん、学校の先生、サラリーマン、自営業等々、お百姓をやってみたい人々の数は数十名にも及びます。入校の動機もさまざまで、第二の人生のライフワークにされる人、食べることを追求して農業に行き着いた人、とにかく農業をやってみたい人、たまたま付いてきて入っちゃた人、さまざまです。
ここで父は土作り、植付け、収穫について指導をしています。生徒の皆さんの多くは県外の方が多く、遠くは静岡県からみえる方もあります。私の第一印象としては「まあこんな遠くまで来て畑仕事!?」というものでした。
でも生徒の皆さんの様子は単なるカルチャースクールのようなものではなく、自分たちで計画を立てて実施し、結果を分析し父からアドバイスを受けるという本格的なものでした。従って畑が用意され、どうぞお使いくださいというようなものではなく、畑として使える土地の「開墾、土作り」からのスタートでした。 |
百姓学校の基本はつぎのようなものです。
●1ヶ月に1回、年12回、1年目で野菜作り、2年目で米作り、3年目で自給農ができることをめざす。
●化学肥料や農薬を殆ど使わず自然の力を引き出す農法をマスターする。
●グループ運営・活動を基本とし、個人やグループで方針を立てて実施し適宜アドバイスを受ける。
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私もお手伝いをはじめることに・・・ |
希望の村や百姓学校、畜産や農作業と何かと行事や人の往来の多い小倉家ですが父や母も年を取り体の故障個所がありました。
そんな時、同時期に二人が入院をするという事態が発生しました。
予定していた入院でしたが同時期というのは予定外でした。
農閑期でしたが畜産をしているので牛の世話をしなくてはなりません。幸い家内がその心得を判っていたことと近くに住む親戚の支援もあり両親が退院してくるまでの間は何とか世話ができました。
両親の入院中のある日、百姓学校の取組みとして野菜を出荷する話が舞い込んで来ました。
事前に両親の方へは話が通っていましたが、その実施方針を決める時期に2人とも入院してしまったので私たち夫婦に百姓学校へのサポート要員としての参加要請が来ました。
私自身も健康とか食べ物に関して色々と考えをめぐらせ始めたことやこの家の一員として何か役に立てるチャンスではと思い協力することを決意しました。
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ウィークエンド百姓学校・初登校は、小倉式農法野菜 vs スーパー野菜の食べ比べ |
両親が入院中に行われたウィークエンド百姓学校への参加が私にとっての初登校でした。
メンバーの方々とは事前準備で何回かお会いしましたし、当然実家を訪れた時にお見かけする顔ばかりだったの気分的にも楽な「デビュー」となりました。
この時のテーマは試験出荷に先立って「小倉式農法野菜 VS スーパー野菜」のベジータバトル(食べ比べ会)です。
今回のイベントは留守中の父に変わってなんと急きょ私の家内が進行役でした。
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無農薬野菜のおいしさを実証する食べ比べ会、冬ということもあり限られた食材でのバトルとなり、メニューを考えることも大変でした。
ベジータバトルは生食と調理したもので行われ、それぞれ素性を明かさずに食べ、食べた人ごとに無農薬野菜かスーパー野菜かを答えてもらう方法で行いました。
用意した食材はニンジン、ジャガ芋、ホウレン草、ねぎ、さと芋。
これを生食比較でニンジン、ホウレン草、ねぎ。調理比較でニンジンの天ぷら、ジャガ芋とニンジンで肉じゃが、さと芋とねぎとニンジンで味噌汁が用意されました。
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それぞれ同じ素材や料理を順次食べ比べ、挙手で無農薬かスーパーかを判定していきました。
やはり「おいしさ」の面では無農薬がダントツに勝利を得ました。
しかし食材によっては人ぞれぞれが感じるおいしさの基準が色々あるということが判りました。そのひとつの例がニンジンでした。百姓学校の土壌で育てたニンジンは色も鮮やかで甘味もあり柔らかく出来ていますがどうもニンジンらしくないという意見もありました。
ねぎについても見た目の姿かたちはスーパーのものの方が「葱らしさ」があるというような意見も出ました。
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無農薬の優勢は実証されましたが実に素朴な意見も出ておいしさの奥深さがよく現れたものとなりました。
スーパー野菜と言えば普段よく口にする馴染みのあるもので、決して「まずい」訳はありませんが、同規格で大量供給という使命を背負っているその生い立ちはやはり自然をうまく利用した人工的製品に思えます。
「味のうまさ」だけではなく、作る環境、本当の姿、本当の味、本物のうまさをもっと多くの人に伝えなくてはいけないのではないかと感じました。
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はじめての実践は耕運機の使い方と新しく作物を育てる畑を耕すことでした。
ちょっと風はきつかったですが春にはめずらしく雲のない快晴の日でした。私が初めて行った記念すべき百姓学校のレッスン1は耕運機による畑の土起しでした。
耕運機を見たことはありますが、使うのはまったく初めて。
先に作業を始めていた先輩メンバーの動きをじっくり見させて頂き、その後操作方法をご伝授願いました。
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使ってみるとこれが結構おもしろい。まあ車の運転ができるんですから車両感覚はそれなりにできました。しかし、狭い場所での転回はけっこう大変。どうも力まかせにグル〜って感じ。
本当はもっと楽に出来るコツがあるんだろうな?
それと、充分起したように感じがでしたが、別の場所にある[お手本」に耕された所とは大違いでした。
校長先生であるお義父さん、こんなんですがどうでしょう?
翌日は手のひら、腕、肩の痛みで苦しむ私でした。
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