Special
路地裏ニライカナイ 〜沖縄カフェ

 

沖縄で女が一人旅。
しませんよねえ、普通。
なぜ思い立ったかというと、
昨年末退社のばたばたで断念した「沖縄
サウンドバム」のリベンジのつもりもあったし、
ストーンヘンジつながりで、世界遺産が見たかったというのもあったし、
ただ遠くへ行きたい、飛行機に乗りたい、という理由もあった。
でも一番の理由は、ちょうどこの10日ほど前、東京が初夏を思わせる陽気にみまわれ、
ああ、海がみたいなあ、と思ったから。
鎌倉や葉山でもいいかと思ったけれど、それに数千円出すなら沖縄まで行っちゃえ、と、
激安ツアーを申し込んだのは出発1週間前のこと。

そんなふうに出かける女一人旅は、非常にこころもとない。
淋しいとか危険とかそういうこころもとなさじゃなくて、
つねに「私はこんなところでなぜ今、ひとりで何をやっているのだろう」と、ふとした瞬間に考えてしまうから。
これは、ふだんカフェだけを理由に都内をふらふらしている時だって同じだ。
そう思わないように、私はいつのまにか、
今自分がそこにいる必然について、気づくことが上手になった。
都合のいい思い込みとも言えるけれど、
この考えは、旅をしていれば必ず何かに出会うのだという確信にかわりつつある。

 


2003 5月10日 ブーゲンビリアの小道をぬけると海海海

5月9日(金)南国は向いてないのか

とはいえ、車にも乗れない女が一人旅というと、ある程度の都市部で、
しかもひとりで外食ができるカフェのたくさんある土地に限る。
沖縄、とくに那覇は、近年カフェ天国と聞いていたし、ホテルも国際通り近くだし、このへんは安心。
空港から出ると、凄まじい青空と、真っ白な高速が目に眩しかった。
風はさわやかとしか言いようがない。温度も湿気も東京より明らかに高いが、たぶんみんなが好きな季節だ。

が、国際通りの開放的でアメリカンな雰囲気は、あまり好きになれなかった。
気候が気候だけにやむをえないのだろうけど、若者のファッションが皆、ややサーファーふう(ガーリ−文化弱し!)。
で、店主も客も、のんびり外に顔をだしてうだうだしゃべっているので、
慣れない私には、ガラの悪い人があちこちタムロしている風景に、見えてしまうのだった。
やはり私に南国は向かないのか。
まずはホテルにチェックイン。全てこみで3万円のツアーだから期待はまるでしていなかったけど
予想以上にレトロな、いや、古臭いホテルだった。
高度経済成長期インテリア。うちの実家みたい。
でも、嫌いではない。

まずは海だ海だとつぶやいて、ホテルから大通りを徒歩で北上、15分ほど。
那覇市内唯一の砂浜「波の上ビーチ」につく。
おそらく人工? とっても小さな小さなビーチ。入江になっていて、波が非常に静か。
が、いっちょまえに海の色はエメラルドグリーンで、きれいだった。
日本海と東京湾しか知らない私にとっては、はじめて見る色。それに、こんなに小さな波なんて、見たことがない。
これ、海の波なのか。湖くらいにしか思えない。
すぐ目の前に高架の道路が見えるのは興醒めだけど
左手には岩壁につきだした神社があったりして、いかにも地元の人の憩いの場。好感のもてるビーチだった。
とっくに海開きしているので泳いでいる人もいるが、
最高気温はまだ26度ほど、しかも日が傾いているので、
足だけひたしてみたものの、水はかなり冷たい。
この時のいでたちはスニーカーにソックスだったのだけど、
フフフ、小学校の頃、毎週のように金沢の浜辺で遊んでいた私は知っている。
海に足をひたしても、乾いた砂でしばらくゴシゴシやっていれば、ベトベトはきれいにとれてしまうのだ。
靴下をはくと足がほかほかする。

 


ふたたび国際通り方面に南下する。
おそらくなんてことない住宅街なのだろうけど、そこは完全に異国だった。
コンクリートの住宅。シーサ−。がじゅまるにショッキングピンクのブーゲンビリア。
児童公園の植物体系からして本州とまったく違う。
ファミリーマートがあって書き言葉が日本語なのが、不思議なくらいだ。

茶館(てーくわん)
那覇市牧志1-2-15 12:00〜24:00(変更の場合あり) 月休


オネエサンがとってくれた写真。この少し前までは満席でした。となりの人が食べていたごはんもおいしそうでした。


※あとで調べたところ、「がっかり名所」は首里城の中でも首礼門だけに限ってのこと。あともうひとつの名所は、高知のはりまや橋だそうです。京都タワーだという説もあるけれど、そもそも京都タワーに期待して京都を訪れる人はいないのであって

 

そうそう、昼食は空港でソーキそばを食べたんだった。
沖縄到着第一のカフェは、以前「マッツ」に掲載されていたこの店へ。
写真では私しかいないけれど、来店したときは、満席。ほぼカウンターだけの小さなカフェ。
私がいただいたのは、「白牡丹茶」と「紅いも団子2コセット」。
ひとつのメニューにつき1ページ、毛筆で店主のココロが豪快に書かれているのが面白い。
注文が出てくるスピードは、かなりの沖縄時間。
注文を受けてから団子をボールでこねはじめたので、驚いてしまった。
が、うれしかった。手のぬくもりがちゃんとあるお団子だった。
しかも100円。沖縄の物価、安いよ。ほんと。
白牡丹茶は、すこし漢方っぽい、身体によさそうな味。
まさに初夏の夕方。なかなか日が暮れないもんだなあと、だんごがこねられるのを見ながら、のんびり時が過ぎるのを待つ。
軒にかかった鉄の風鈴が鳴っている。
このカフェがあるのは、国際通りから一本わき道に入った「ニューパラダイス通り」。最近おしゃれなお店が増えているエリアだ。
ほかのお客さんがいなくなったところで、お店のスキンヘッドのお姉さんに話しかけてみる。
はじめての沖縄で、浜辺の茶屋(下記参照)や首里城には行こうと思っている、と話すと、
「浜辺の茶屋は、引き潮の時に行くと"?"なので、気をつけたほうがいい」という貴重なアドバイスをいただく。
また、首里城は「日本3大がっかり名所のひとつ。でもまわりの住宅は面白い」とのこと。
うーむ、敬愛する赤瀬川原平氏が、名城だと断言していたんだけどなあ。
ところで3大がっかり名所って、ひとつは札幌の時計台だとすぐ分かりますが(あれはあれでこぢんまりして好きですよ 笑)、あとひとつって何???? 彼女もわからないとのことでした


その後も、お店のお姉さんは、国際通り近辺のマップをくれたりして、たいへんお世話になりました。
実は、沖縄の、謎に平たんなアクセントの口調が少し恐かったのだけど、
あ、みんな無愛想で喋ってるわけじゃないのね、と、よくわかりました。

CAFE T'S MORE(かふぇ てぃーずもあ)
那覇市松尾2-3-11 浮島通り 12:00〜22:00 木休


照明のせいか黄色っぽく写っていますが、全体的に白の漆喰。椅子のかたち、どこか縄文?

そのまま夕暮れの国際通り近辺をふらふら。
市場のほうも行ってみるが、もう徐々に店じまいをはじめているところだった。
翌日の朝食用に、サーターアンダギーを3つ購入(いや、あんなにあぶらっこいものだと思わなかったもので)。
あまりおなかはすいていないが、一応夕食のために次のカフェに移動。
浮島通りも、国際通りから1本入った。オサレエリア。
パラダイス通りが代官山ならこっちは原宿かしらん。
夜でも入りやすそうな明るい雰囲気にひかれて、入店。

オサレカフェなのだけど、壁が漆喰風。
空港から最初に目についた高速や、コンクリート住宅からも受けた印象だけど、
沖縄の物体は、ベクトルが白へと向かっているのではなかろうか。
珊瑚礁が最たるものだ。沖縄の風化は、白へ向う。

で、このカフェ、おしゃれな中にどこか土着的なものがあって、
店内にもふつうのおじさんやおばさんがいて、ほっとした。
席の配置もひとり客に優しい。
カレーのホットサンドとアイスオレンジティーをいただく。
夜なのに、これで800円。偉いです。
バイトの平均時給も、安いけどね(なにせ650円)。


国際通りの開放的な雰囲気が、なんとなくこわいので、
夜道を歩くのは避けて、ホテルへ戻る。
ベッドのしたには白いかみねんどのようなホウ酸団子がころころ落ちている。
巨大であるという「ゴ」の出現におびえつつ、電気スタンドをつけたまま就寝。
何か、おちつかない。
異文化にやってきたのに、あれほど皆が虜になった沖縄に来たのに、
何か強烈に訴えるものがない。
やはり私に南国は向いていないのだろうか
沖縄にやってきた理由が、まだ自分でよくわからない。
釈然としないまま眠りにつく。

つづきをよむ

 

▲一番上へ
▲specialメニューへ戻る