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京都 その2

 

進々堂 (しんしんどう)
左京区北白川追分町88 8:00〜18:00 火休 


中庭も緑が濃くていい。

高い天井、硬質な壁、そしてどっしりとしたテーブルの深い木の色。自分は何となく「cafe」が好きかもしれないと思いはじめていた大学生のとき、旅先の倉敷で入った「エル・グレコ」。それから半年たってはじめて訪れた進々堂で、私はまず「エル・グレコ」と共通した空気を感じました。このふたつのカフェのテーブルを作っている人が、同一人物である事を知ったのはそれから2年以上たってから。

百万遍が好きです。あの立て看板やボロボロの京大キャンパスは、私が地に足つかない気分で4年間足を運んだW大に、そっくりだからです。

 

 

 

若王子 (にゃくおうじ) 2003年12月現在 休業中
哲学のみちを歩いてると、永観堂寄りのほうにあります。すぐわかります。営業時間は13:00から18:00らしいですがあまりあてにはしないでください。メニューはコーヒー、紅茶、ココアなど8種類ほどのドリンクのみ。蔵を改造した建物とのことですが、これも信用しないでください。


でも、ちゃんと生花がたっぷり飾ってあるのです。

 

※2003年 秋? ぜんまいじかけのようなおばあちゃんは、お亡くなりになったそうです。2003年末現在、休業中とのこと(BBSにてflowerさんがご報告)

私が知る限りの変な喫茶店第1位に堂々ランクインです。そりゃー、チチ松村さんに言わせればまだまだかもしれないけどさ。

お決まりのコース、銀閣を出たら哲学のみちをてくてく歩きます。いつ歩いてもなかなか歩きがいのある距離です。そうすると、右手に、謎の花を積んだワゴンが見えませんか?ファンシーなやつが。その上、もしくはまわりに猫が2、3匹いたら確実、そこは衝撃の喫茶「若王子」です。

おそるおそる階段をおりてみましょう。私が「ちょっとこわいね」と言いながら階段を降りてきたら、上がってくる中年夫婦が「ここ、かなり怖いぞ!」と言い残していきました。期待は高まります。

謎の赤いポストにむかえられ、うっそうとした庭のようなところをくねくね行くと、お勝手のわきみたいなところを通って(こうとしか表現できません)、喫茶室の入り口の前に出ます。中を覗き込むと、なんとコーネリアスがかかってる!と思ったらラジオでした。

キリストとマリアのステンドグラス、着物を来てデパートの袋を下げたハイカラなマネキンが2体、鮭をくわえた熊の木彫り多数、なのにたっぷりの生花、古いポスター、蚊取線香、シャンデリア、大入り袋、ぜんまいじかけのようなおばあちゃん店員。広い店内なのに、多くのテーブルの上にはマスターの私物(古着)が山と積まれ、座れるテーブルは2つしかないのです。

で、マスターはもと時代劇スターの栗塚旭氏(最近ビデオが再発されたとのことで、強制的にカタログいただきました)。飲みものはどれもお菓子つきで700円。お菓子は手作りといいながら、おもいっきり市販のものでした。しかも、姉が頼んだカルピスソーダは、ダイソーのシールつきのグラスで運ばれました。(紅茶は意外なことにおいしかった)

この店に、他にお客さんがいないとき一人で来るのは立派なバツゲームになりえます。とにかく一度は体験してみましょう。ディズニーランドの「ホーンテッドマンション」より面白いです。でも、私はもう、いいです。 

猫町 (ねこまち)
左京区白川北大路下ル2筋目西入ル 11:30〜23:00  火休

朔太郎の「猫町」をそのタイトルにひかれて、なんとなく読んでしまったのはもう8年も前のこと。
ひきつけられる言葉ってかわらないものですね。
一乗寺って、よほど北の丘の上にあるのだと思っていたら、普通の住宅街でした。
でもみてくださいこの看板! 猫町というよりは注文の多い料理店?
Grill&Cafeを名乗っているだけあって、お食事のメニューは本当に多いです。グループもOKの大きなテーブルもあるくらい。
でもね、やっぱりカウンターです。こげ茶の木の。広いカウンター。そして同じ色で出来た風変わりな椅子は、見かけよりめっちゃ重いです。ずっしり。
公園であそぶ子供の声も消える午後6時。青い空気のなかでひとり本を読む女の子もいます。
本棚がまたいいです。スタッフの私物なのでしょう。私の好きな光野桃さんの本もありました。
が、なにより心奪われてしまったのは、ポール・ギャリコの「猫語の教科書」(ちくま文庫)。
かしこい猫になるための教科書です。
あなたの家はすでに、これを読んだ猫に乗っ取られているかもしれません。
熱いフレンチトーストをフーフーやっているうちに、なにやら眠くなってきました。
この光と色の催眠効果、どこかに似てる? と思ったら、われらが「
ひなぎく」でした。
もう、動きたくないです。帰りたくないです。

hohoemi (ほほえみ)
上京区荒神口河原町東入ル亀屋町128 11:00〜19:00

鴨川にかかる橋から上流のほうをみわたすと、いつも山と雲が同じようにもくもく出ていて墨絵みたい。華やかな三条や四条の川床にひかれたのは少し前。京都中級者になってなぜか上流が妙に気になる。出来過ぎのY字。中洲にてもの思う。
亀の背中をわたる人々を眺めたあと、下鴨神社前の橋を渡るとある、白くて小さなベーカリーカフェ。席は7つだけ。カウンター感覚でひょいと座るような小さな木の椅子とテーブルなので、厳しい夏or冬の河原を歩きたおした後のちょっとした避難所にどうぞ。はちみつやジャムの密閉容器も安くてかわいい。

 

マエダコーヒー明倫店 (まえだこーひー めいりんてん)
中京区室町通蛸薬師下ル山伏山町546-2 京都芸術センター(元 明倫小学校)内 10:00〜21:30  TEL:075-221-2224

花曇りの四月、はじめて訪れた古い小学校。なんでも明治2年創立だそうだ。現在は芸術センターとしてさまざまな展示が行われ、図書館も併設され、教室を利用したカフェがあることも知っていたけれど、私は何でもない古い教室の椅子に座ってぼんやりするだけで満足してしまった…木の椅子、木の勉強机、教卓、レトロな階段の手すりや窓枠、ダストシュート。私の子供のころの記憶と重なる部分もあれば、もっと古い部分もある。驚くほど斬新な部分もある。でも学校には学校にしかないなつかしさが、必ずある。

残暑厳しい9月、どうしてもまたこの古い学校を訪れたくて、四条烏丸で電車を降りた。マエダコーヒーは本店がすぐそばにあり、京都の人にとってはおなじみの喫茶店だ。メニューは伝統的な喫茶店系で、お値段は良心的。決してあか抜けてはないけれど、新聞片手に誰もが訪れることができる。窓にレースのカーテンなどがかけられ、店内はいたって正統派の喫茶店と化している。もう少し教室らしさを残していてもいいのにな、と思った。

古い空間に、元気でいてほしい。いつもそう思う。

まる捨 (まるすて)
東山区祇園町北側245 9:00〜18:00 月休


四条通に面した有名な飾り窓。レモンのほかにも、南国のフルーツが飾ってあることがある。

京都は、年輩の女性がカッコイイ街。まる捨のおかみさんは、おそらく私の母くらいの年令なのだけれど、シンプルでシックなニットに黒のエプロン、髪をひとまとめにして細い体をピンとのばして立ちふるまう姿には、ほれぼれしてしまうものがありました。

ミックスジュースをつくる様子は手品のよう。てきぱきとくだものを切って入れ、牛乳、氷を加えてササッとミキサーに入れ、最後の一滴までグラスにあけるとあらふしぎ、見事にグラスの上1cm残してぴったりおさまるんですねえ。すし職人のにぎったシャリのつぶの数がどれも同じ、というのに近いものがあります。

そして特筆すべきは、このお店の「元祖、淑女サロン」というべき機能の果たし方。カフェを交流の場にしたい、そしてふらりと入った人にもやさしいお店にしたい、という若者はたくさんいますが、それはこの「まる捨」で30年も前から日常的に行われていることなのであります。常連さんの京ことばを聞きに、ひとりでふらりとはいってカウンターに並んでも歓迎される、素晴らしい喫茶店です。

その後は、すぐ近くの脇道を入って「萬樹」にきざみきつねを食べにいきましょう。

mizuca (みずか)
下京区寺町通松原下ル植松町731-1 小林ビル2、3階 TEL:075-344-1432 12:00〜20:00 水休

いい響き、ミズカ。水。その名のとおり、水を入れたグラスがそれぞれ人によって違って、美しいカフェ。2階がカフェで3階がギャラリーですが、その途中にある水道のタイルがまた美しい。グラスや小さな豆皿、染め付けの器に植えられた小さな植物、そして店内あちこちにある古民家のパーツのようなくすんだ鉄の小物を見ると、おそらく相当なアンティーク好きの手によってさりげなくあつめられたのだとわかります。とはいえ、3方向を窓にかこまれた、開放的ですっきりした店内。ゴミゴミした通りに突き出しており、京都らしい激しい車通りから避難するにはもってこいです。スタッフのお姉さんは、これでもかというほど気さくでいい人です。

紫(むらさき)
東山区祇園町南側(青柳小路) 1泊朝食付き8000円

「ごちそうさま」と言えば「おそまつどす」と本物の京ことばが返ってくる、祇園のど真ん中「紫」。たった5部屋の小さな小さな片泊まり宿。お部屋はたしか4.5畳。洗面所は中庭に面した水道が1口だけ。ドライヤーもジャグジーもあるわけないけど、私はすだれや京つけもののほうがいいのさ。ぽくぽく音がすると、窓の外を舞妓さんが通る。夜じゅう窓をあけてぼんやりしてたものだから、蚊にいっぱい刺されました。浴衣もプリチー。

茂庵(もあん)
「茂庵」京都市左京区 吉田山山頂 11:30〜18:00(ランチは15時まで)月休

暑い! 修学旅行生でごったがえすバスからホウホウノテイで降りる。百万遍の先、吉田山(といっても100mの丘)に入ると、うってかわって人ッこ一人おらず。不安になりながらゼエゼエ頂上に到着すると、「注文の多い料理店」か?と思われるような異次元が突如出現。平日なのに30分待ちにはびっくり。でも納得。ここーまーで来ーてーよかーった! なにせ、ここのランチめがけて東京からやってきたのさ。随所に見られる花のあしらい方が見事。トイレやお店の裏まで、すべてに「飾る」心づかいが見られます。開けた窓からは京都市内が一望。いい風がふいて、ああ、次は好きな人と来たい、この感じをわかってくれる人じゃなくちゃ、絶対! と強く心に誓ったのでした。

六曜社地下店(ろくよーしゃ)
中京区河原町三条下ル東側 11:00〜18:00 水休


もちろん地下店へ。

旅のよさは、知っている人がいない土地に行く自由さなのだけど、その中に「ここに行けばいつでもこの人がいる」という小さな灯がひとつあると、それがまた「またここまで来てしまったね〜」という旅の実感になるのです。マスターのオクノさんは、喫茶店学のゲストとして東京は池袋ではじめてその姿を拝見したわけですが、カジくんや皆川さんや野ばらちゃんと違って(笑)、六曜社へ行けばかなりの確率でアポ無しで会えるわけです。喫茶店のマスターというのは、とっても開かれていて、垣根がなくて、でも町の有名人で、別に個人的に親しいわけではなくて、面白い存在だなあと思います。京都の好きなところは、やや年輩の方が魅力的なことですが、それはもちろんオクノさんのことでもあります。店内は狭いです。キャメルの喫茶店らしいソファや椅子があります。忘れちゃいけないドーナツ。甘さではなく香ばしさを楽しむドーナツです。たまに禁断症状が出ます。これ書いてる現在も。うー。

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