コラム(ヤママサ通信より)

筆者プロフィールはこのページの最後に

急須でお茶を!

北大路魯山人が「食器は料理の着物」だと言いました。料理にふさわしい器はその料理を引き立たせる着物のようだと言うのです。この言葉を借りると「茶器は銘茶の揺りかご」です。煎茶には煎茶の、番茶には番茶の、それぞれにあった「茶器」は葉茶を懐に抱いて最高の香味を引き出してくれます。

さて宇治の朝日焼は遠州七窯に数えられる400年の古窯です。宇治川の陶土で焼かれた煎茶器は宇治茶と共に育ち、朝日の急須で淹れた玉露はまさに天下一と称えられました。しかし高級品の朝日といえども、形あるものはやがて欠けます。わが家にも口の欠けた急須やひび割れた茶碗があって心が痛みます。

この度窯元がはじめた新しい会員制度では万一破損しても一定の条件で新品と交換が可能です。ペットボトル茶の台頭で急須が消え、お茶を美味しく飲むゆとりも無くなりつつある今、朝日の茶器で最高のお茶を楽しむ。松林窯元からこんな提案を頂きましたので是非一度お問い合せ下さい。

2012.4月更新

壷中天(こちゅうてん)

後漢の役人、費長房が一人の薬売りの老人を見かけたことからこの話が始まります。「老人は薬を売り終わると横に置いていた壺に入っていく。頼んで自分も入れて貰ったところ、中には立派な建物があり、美酒嘉肴が並んでいたので、共に呑んで壺から出てきたという。」(国語大辞典)壺の中には俗世界とかけ離れた別天地がありました。

この故事から、日常の生活の中に自分だけの世界を持つことうぃ「壷中に天あり」といいます。人間いかなる環境や逆境にあろうとも趣味信念信仰など自分が打ち込めるものがあれば、意に満たない俗世界から解放され救われるものだと解されています。

壷中薬とは飲むと不老不死の仙人になれるという薬ですが、これは実はお酒だったのかも知れません。以前「壷中天茶舗」という取引先がありました。茶は延齢妙術の仙薬なり。そんな壷中茶(私の造語)を飲めば幽玄の別天地へ誘ってくれますよという店主の気持ちが伝わってくれる名前ではありませんか。

2012.4月更新

二宮金次郎(尊徳)

我が母校の校庭にも、薪を背負い歩きながら本を読む尊徳像が建っています。石彫りなので戦争中の金属供出から免れたものの、さすがに老朽化が進み子供たちには近寄らないよう指導されています。この、尊徳像が今、全国の小学校の校庭から消えつつあります。

撤去の理由は、「子供が働く姿の押しつけは、児童の教育方針にそぐわないから」(地方紙)だそうで、「交通安全教育上危険である」という意見に至ってはいかにも携帯電話時代の反映でしょう。翁が教える「勤勉勤労」と「報徳思想」こそ、現代の児童教育に一番必要ではないかと思うのですが。

子供は親の働く姿を見て育つと言われるように、これは大切なこと。宇治田原町の小中学校には、最近まで”お茶休み”というのがありました。茶摘みの盛期に家のお手伝いをするためで、知らず知らずのうちに親の背中を見てきました。働く苦労と楽しさは体を動かすことで知ることができます。まもなく新学期と新茶シーズン。子供たちにとって学ぶべき良い機会です。

2012.3月更新

 

茶香服女子(ちゃかぶきじょし)

もともと男性の趣味あるいは仕事とされている世界に、すごい勢いで女性が進出しています。例えば温泉女子、山ガール、写ガール、仏像女子など新しい言葉が出来るほどです。電車の運転手はかつて少年たちがあこがれた職業ですが、今や多くの女性運転士や車掌が鉄乙女(てつおとめ)と呼ばれています。

ところで茶香服といえば茶の審査技術を高める修練の場であり、茶業青年が競って練習に励んでいます。近年ここに、女性の参加が目立ち、いわば「茶香服女子」はなかなかの奮闘ぶりです。茶業のプロが集う「茶審査技術競技大会」は3月に京都府大会、秋に全国大会が開かれますが、大勢の女性選手が予選を勝ち抜いて出場してくれれば嬉しい限りです。

平成12年日本茶インストラクター制度ができてから、この資格を目指す女性が増えました.当社の関係では5人、うち女性が2人。息子や娘もインストラクターです。因みに私は会報「茶論」にコラムを書いていますので機会があればご覧下さい。

2012.2月更新

二八の悲哀

商売で物が売れない、興業で人が入らない。昔から二八、つまり二月と八月は景気の悪い月とされています。初釜が済んで、小社も例年の事ながら暇になりました。特に急いでやる仕事もないし、茶園はこの寒さで休眠中だし、新茶の準備を始めるにはまだ早すぎます。

茶葉の消費は原発の風評被害が尾を引いて冷え込む一方。さらに宇治の街は寒波で観光客が激減し静かなもので、今年はことさら二八の悲哀といったものを感じます。暇だからこの時期を利用して、茶業青年団は茶香服(ちゃかぶき)の練習にいそしみ、組合は決算や総会の準備。そして宣伝イベントを開いて、かえってそれなりに忙しい閑散期ではあります。

そこでお断りなのですが、小社では閑散期の1月2月3月そして8月の4ヶ月間は、土曜日を完全休業しています。年間労働時間数の難しい制約もございまして、迷惑もお掛けしますがご理解をお願い申し上げます。普段の土曜日は交替出勤などでご注文に対応いたしております。

2012.2月更新

 

商売は身だしなみ

チョットいい靴がほしいと思って正月のデパートへ。店員さんは通販で買った私の靴を見て特売品の方を出してきました。かつて国鉄時代の駅頭には旅館の旗を持った番頭さんたちが大勢いました。流れ客が上客かどうか靴を見て判断したらしい。高級で手入れが行き届いていれば真っ先に声を掛けたそうです。

今の世は服装の善し悪しでお客様を区別してはいけません。ところがお客様は我々の服装でお店を選んでいます。清潔な店着、正しい着用の仕方をそれとなく見ているのです。茶は食品販売業ですが、携わる茶業者の服装に油断はないでしょうか。恐いのはお客様が(文句を言わずに)黙ってこなくなることです。

ネクタイがエルメスであってもプリント柄なら遊び着。シャツも、貝ボタンかどうかが夜のお茶屋さんが見ている目安。本当の身だしなみとは、その場その場に相応しい服装と足元からです。娘たちに旦那さんの靴を毎日磨くように口酸っぱく言っているのですが、果たして…。

2012.1月更新

2001年から2011年バックナンバー

2001年

1月

今年も宜しくお願い申し上げます
2月 お米100sお茶2s
3月 待つ楽しみ
4月 夫婦碗
5月 製茶始めました
7月 茶せんは筌か筅か?
8月 茶摘みは夕方にせよ
8月 湯水のように
9月 緑の黒髪
9月 女心と秋の空
10月 緑茶(リーフ)の敵は自動販売機だった
11月 裏焼き
12月 有り難うございました

2002年

1月 立春
2月 抹茶ミルク
3月 ほんまもん宇治茶ペットボトル
4月 葉茶苦戦
6月 喉から手が出る
7月 色気より食い気
8月 怖い中国産茶
9月 李下に冠を正さず
10月 新米
10月 ヤママサ通信(2400回記念)
11月 ノーベル賞と不正茶判別
11月 荼(と)と茶(ちゃ)
12月 茶寿

2003年

1月 今年も宜しくお願いします
1月 ストロングティー
2月 ダマにダマされるな
3月 お茶入ったぞ
3月 思い込み
4月 十煎茶(当選茶)とうせんちゃ
5月 番茶
6月 新抹茶
7月 分煙と禁煙
7月 交通安全標語
8月 お茶屋はグルメ?
8月 冷たいお茶
9月 秋の茶園
9月 スリランカ(旧セイロン)茶業視察
10月 永谷宗円以前の煎茶
11月 禅語にみる茶1
11月 禅語にみる茶2
12月 賞味期限
12月 消費税の総額表示
12月 ありがとうございました

2004年

1月

今年もよろしくお願い申し上げます。

1月

ごとび

2月

「年頭所感」

2月

ことわざ

3月

ラーメン・モード

3月

モォーケッコー

4月

お亀の火

5月

製茶始めました

5月

団欒(だんらん)

5月

牛から馬へ

6月

1年が早い

7月

畑どろぼう

7月

緑茶飲料・東西対決

8月

茶三徳

9月

茶十徳(明恵上人)

9月

裏千家今日庵坐亡斎家元御好茶銘

10月

新・一万円札

10月

茶香服(ちゃかぶき)

11月

冬眠と休眠

11月

ビタミンC

11月

捨てる勇気

12月

「米寿」夫婦がそろったら「茶寿」の祝い

2005年

1月

今年もよろしくお願い申し上げます2

2月

吸うか、吸わないか・・・

3月

茶縁(ちゃえん)

3月

誤りも繰り返せば正しくなる

4月

思い込み2

5月

製茶始めました2

5月

茶の発酵

6月 恩賜の煙草
6月

逆さ「茶」文字

7月

旧暦は新暦のいつ?

8月 濁り酒は食べ物か?
9月

「鯛も一人は旨からず」

9月

グレシャムの法則

10月

地震

10月

三等賞は上から何番目?

11月

蛇口からお茶が出る!

11月

柿の木から落ちること

12月

キャノン

12月 園児茶会
12月

ありがとうございました2

2006年

1月

今年も宜しくお願い申し上げます2006

1月

年頭所感(平成18年)

2月

卵に目鼻

2月

パチンコ台

3月

鯖読み

3月

食 育

4月

「みる」

5月

山城新茶情報

6月

もしか風呂敷

6月

嫁のぞき

6月

茶選り品評会

7月

いま、玉露

8月

冷たいお茶を美味しく

9月

悠仁(ひさひと)さま

10月

急須でお茶を

10月

「命は食にあり」

10月

「おチン粉」?

11月

さどうとちゃどう

11月

抹茶入りクリスマスケーキ

12月

華甲の白

12月

ありがとうございました(2006)

2007年

1月

今年もよろしくお願い申し上げます2007

1月

飲酒運転

2月

あるある騒動

3月

新茶予想

3月

地域団体商標(地域ブランド)

4月

ジリ貧

4月

京都へ来てはあきまへん

5月

製茶始め

5月

はげ山

6月

似て非なる粉末茶

7月

他人の趣味

7月

賀寿の祝い

8月

桃栗三年

9月

暖簾貸し商法

10月

きつね草

10月

急須で茶文化

11月

ゆすり

11月

茶業界紙

12月

7000人

12月

ありがとうございました(2007)

2008年

1月

今年もよろしくお願い申し上げます(2008)

2月

ラオス人民民主共和国

2月

痛風

3月

新茶予想

3月 傾城の茶ことば
4月

飲む・打つ・買う

5月

表示違反で実名報道

5月

製茶始めました(2008)

5月

新抹茶

6月

水出し茶

6月

恩賜のたばこ

9月

宝くじ

10月

「諸般の事情で・・・」

11月

食品加工用抹茶の二極化

12月

天下の戦を語るな

2009年

1月

今年も宜しくお願い申し上げます(2009)

1月

火災警報器

2月

まことちゃん、セーフ?

2月

ホームから消えたもの

3月

師と士

4月

こだわり

5月

左翼と右翼

5月

製茶始めました2009

6月

基本の応対

6月

チャバ

6月

大麻

7月

クールグリーン(加糖抹茶)

8月

この、ヤママサ通信が本になる…

9月

香典返し

10月

立ち小便

11月

大切にしたい記念日

11月

おかげさまで

12月

年賀はがき

12月

名刺

12月

ありがとうございました2009

2010年

1月 今年も宜しくお願い申し上げます2010
2月 街歩き
3月

茶の木人形(宇治人形)

3月

2600回記念

4月

南北と東西

5月

山葵(わさび)

5月

薬は台所にあり

6月

3K

7月

貧乏神

8月

ドッグ・デイズ(犬の日)

9月

写真同好会

10月

電話帳広告

10月

手書きに心をこめて

11月

ポンポントン

11月

茶の花

11月

茶の北限

12月

禁煙したら気分的に楽になる!

12月

ありがとうございました(2010)

2011年

1月

今年もどうぞよろしくお願い申し上げます(2011)

1月

「茶箱の中の宝物」

2月

水戸黄門

3月

茶殻リサイクル

4月

稲むらの火

5月

茶釜どろぼう

5月

渋茶で食中毒予防

6月

蜂は花を枯らさない

7月

スピード違反

7月

いやじ(いやち)

7月

マネキン人形

8月

裏通りの論理

8月

ずるいぞ。中国人

9月

ライバル

9月

茶業は食品製造業

10月

一斗二升五合

10月

天高く馬肥ゆる秋

11月

女四十は花盛り

11月

お茶屋の火事

12月

今年もお引立てを賜りありがとうございました(2011)

 

筆者プロフィール

小山茂樹(こやましげき)

1947年(S.22)生まれ

同志社大学経済学部卒

松下電器貿易(株)を経て

現(株)山政小山園代表取締役専務

京都府茶協同組合理事

宇治商工会議所常議員等・・・